札南野球部2000年甲子園出場記念祝賀会

並びに『3年生を送る会』
     2000年9月2日 川沿グリ−ンホテル

西暦2000年、20世紀最後の夏、札幌南高OBの我々は、各々の人生に、これまで予想もしていなかった『母校が甲子園に出場する』という衝撃的な感動につつまれ、ともに酔いしれた。
『札南の熱い夏』の感動も醒めやらぬ9月2日、札南旋風の主役を演じた51期の『3年生を送る会』が、野球部父母会およびOB会主催により開かれた。
ここに掲載するスナップ写真から、彼らの清々しい表情とともに、会場をつつんだ『熱い夏』を締めくくるに相応しい『笑いあり、涙ありの和やかな雰囲気』を少しでも味わっていただければ幸いである。

壇上にはすべての札南関係者が夢にまで見た南北海道大会優勝旗と優勝盾が飾られていた

鈴木一世 白石一馬 八木沢一城 浅間麦  渋谷美穂子    

上原重之      皆方等     吉村文利

上原重之:札南ID野球の顔となった存在。君の冷静な分析能力と野球に賭ける情熱は、札南全員野球にはなくてはならない存在である。3塁コ−チャ−としての活躍も印象的であった。さらに、文武両道を実践した野球少年の代表でもあった。
皆方等:まさに甲子園出場の立て役者。君の成長の背景にあるものは、これまでに味わった悔しさの量の多さであろう。君自身がたどった高校野球3年間の歩みは、多くの後輩に勇気と希望を与え続けると思われる。甲子園でのPL戦後半で見せた投球は、全国レベルで通用する名投手の風格すら漂っていた。
吉村文利:地味な存在ながらも堅実なプレ−は札南野球がとても似合う存在であった。映像に現れる君のイメ−ジもまた、札幌南の知的な雰囲気を代表していた。PL戦で最後の打者になれたことは、『青春の素晴らしい1ペ−ジ』として残しておくと良いだろう。

 中西琢也  大林叔朗    三好太郎

中西琢也:札南ID野球分析班の一人。1塁コ−チャ−として札南野球のゲ−ム展開に重要な役割を演じていた。謙虚な姿勢も印象的であった。
大林叔朗:君の投手としての成長も、皆方君の『大化け』を誘導したのであろう。野球は、チ−ムの一人一人が精一杯努力するときに最大限強くなるのである。ベンチに映る君の笑顔も、また札南野球の『清々しさ』と『爽やかさ』を象徴していた。『途中でやめようと思った時もあったけどやめなくて良かった』と言う言葉に共鳴した仲間は多かったと思われる。
三好太郎:健康上の理由で不本意な時期もあったのであろうが、野球に賭ける情熱は人一倍であったと思われる。人生はまだこれからである。今後の野球人生の展開にさらなるチャレンジを望みたい。

 西尾信洋    鎌田 洸    池田 洋

西尾信洋:『夜の藻岩山に向かって、我が人生は失敗と叫んだ』経験は、今後の生き方に強く味方するであろう。甲子園のベンチでのいつもニコニコしていた表情は、一味違う札南野球の一服の清涼剤であった。
鎌田洸:君の努力もまた札南野球の展開になくてはならないものであった。下級生とのパイプ役をこなしていたという田端主将の紹介も、君の存在感を強く印象づけるのである。貧血気味の新入生の時に比べ、逞しい3年生に成長した君も札南野球で『大化け』した一人かもしれない。
池田洋:『3年間で一度もメンバ−に入れませんでしたが、たくさんのものを受け取ることができ、意義のある3年間でした』と言う言葉は、野球を志す少年達に限りない勇気と希望を与えるものである。この感覚こそ、まさしく札南全員野球の立派な正選手なのである。

様々な表情を浮かべ熱弁を振るう吉田真

吉田真:豊かな表情を浮かべながら、野球で学んだことの多さを、説得力のある話し方で十数分にわたり演説をした君の態度からは、甲子園が少年達に与える人生への自信のようなものを感じさせた。繊細な感性を持つ君にとって、札南野球で得た精神的財産を糧として、指導者としてその才能を存分に開花させる日が、やがて来るものと思われる。

『鈴木一世君の涙に感動』

鈴木一世:名二塁手が多い札南野球部の歴史において、君もまさに札南球史に残る名二塁手であることは言うまでもない。そしてさらに君の野球少年としての素晴らしさは、その感性であろう。『共に励まし刺激し合って甲子園に行けるようになった』友人達の努力の過程が走馬燈のように心に蘇ってきた時、思わず頬を伝わってこぼれ落ちた涙に、我々は忘れかけつつある何かを思い起こされ、同時に札南野球の本質を垣間見たように思えて、深く感動したのである。甲子園での一回裏のセカンドゴロは、実はイレギュラ−バウンドしていて、決して単純なエラ−ではないと言うことを多くの札南野球ファンは知っているのである。また南北海道大会決勝で九回表2アウトからの君の3塁打が事実上試合を決める一打になって我々を甲子園に連れて行ってくれたことも多くのOBは認識しているのである。
これからの人生での更なる飛躍と活躍を大いに期待したい。

横山恵毅   白石一馬    八木沢一城

横山恵毅:君もまた地味な努力をする札南全員野球の一員であったと思われる。君をバレ−ボ−ルから野球に転向させるほどに、今の札南野球部の存在は、スポ−ツを志す少年にとって魅力的な集団なのであろう。
白石一馬:メンバ−に入れるか否かで味わう野球少年の微妙な心理は我々の想像以上のものかもしれない。しかし田端主将と話し合った末に納得して札南全員野球の一員に徹した君の努力は実に素晴らしいのである。野球にはある種のストイシズムは必要である。しかし、それ以上に楽しむ気持ちを持っていれば、どのような展開になっても、有意義に過ごせるのである。
八木沢一城:地味な存在ではあるが、好プレ−を随所に見せた選手である。バントのうまさも、猛練習の成果であろうし、PL戦での2塁打も、弛まぬ努力が見事に甲子園の大舞台で花開いた一打であろう。札南野球で成長することの面白さと醍醐味を味わったことと思われる。

 浅間 麦         渋谷美穂子

浅間麦:札南野球の裏方として努力をされてきた成果が、甲子園出場となったのであろう。一昔前の札南女生徒を思わせる清楚で地味な雰囲気が、微妙に今の札南野球部に似合うところが素晴らしいと思われる。
渋谷美穂子:女子生徒として南北海道で初めて甲子園のベンチに入れたことは大変名誉なことである。その存在に励まされ勇気づけられた野球部の生徒も多かったと思われる。

キャプテン 田畑広樹

田畑広樹:札南全員野球の名主将として果たした役割は言うまでもないが、名サ−ドとしての守備のうまさは南北海道大会や甲子園でも存分に発揮されている。3塁線のゴロをはじいた後の機敏な動作でPLの朝井君をタッチアウトにしたプレ−は、札南野球史に残る感動プレ−であろう。3塁線のファ−ルとなるゴロまでダイビングキャッチして好捕するファイトは、それが必ずしも直接試合の展開に影響がなくとも、チ−ムの士気に与えるメンタルな貢献と言う点において、君の中では冷静な計算ができているように思える。今後とも、大学野球でのさらなる成長、および、高校野球の指導者として活躍されることを期待したい。
『甲子園の土』をありがとう。かつてグラウンドで白球を追ったことのある者にとって、素晴らしい人生の宝物になるでしょう。

武田健二部長  松田晃監督   荻島勝幸コ−チ

札南野球の指導者達

武田健二部長:ベンチでの泰然自若とした構えは、一見戦国時代の武将を彷彿させる。軽妙な喋りの中に漂う優しさと厳しさは、選手達にある種の安らぎと適度な緊張感を与えていたのであろう。現在の札南野球の基礎を作られた功績は実に大きいと思われる。

松田晃監督:武田部長の『静』に対し、『動』の存在。まさに、名実ともに高校野球界の名監督。飽くなき探求心と弛まぬ向上心は、さらなる札南野球の完成に向けて一層の進化を遂げるであろう。彼の持ち味は、欧米的な合理性を持った成熟した個人主義を堂々と実践して行くところにある。『プレ−ボ−ル』の意味を、『野球を楽しめ』と和訳させるところに、英語教師としてよりも、野球を通して人生を教える高校教師としてのセンスの良さを感じるのである。今後とも南校OBの監督として、札南野球に人生を賭けていただきたいと願うのは我々19期のみではないであろう。

荻島勝幸コ−チ:武田部長、松田監督にないものを補うことで札南野球のバランスをとる役割を演ずる存在。今後の札南野球の進化に向けてさらなる貢献を期待したい。

――札幌南高野球部が毎年のように全道大会に駒を進め、我々を楽しませてくれているのは、ひとえに、指導する先生達の努力のたまものであります。中学の時は無名の選手を、甲子園を沸かせる一流選手にまで育て上げる手腕は敬服するばかりです。今後ともさらなる進化を期待しつつ、指導者の方達を陰から支援することはさせていただきたいと考えております。―――

札南野球の今後の抱負を語る青山敦士新主将

青山敦士:優れた野球センスと冷静な判断能力を持った新主将。真剣に野球に取り組む姿勢は、札南野球の新たな方向性を模索し、切り開いて行ける力強さと堅実さを感じさせる。   『甲子園に行けた3年生の後ろ姿を見て』過ごした経験は、今後の札南野球を大きく進化させる原動力になることであろう。札南野球のファン層をさらに広げうる雰囲気と合わせ、大きく成長してほしい逸材である。

壇上にそろった1、2年生の野球部員達。青山新主将を中心にさらなる飛躍を期待したい。

最後は、1,2年生および父兄に囲まれ、和やかな雰囲気の中、3年生達は会場を去って行った。

感動的な『札南の熱い夏』をありがとう。
我々札南のOBも、まさにこの夏、『幸せのかたまり』でした。
これからも、札南野球を応援し続けたいと思います。

              写真と文:南19期 浜田結城